• ホーム
  •  > 院長コラム
  •  > ★郡上市民病院にDMATが来ました。 中部ブロックDMAT(災害派遣医療チーム)実動訓練

当院のご案内

★郡上市民病院にDMATが来ました。 中部ブロックDMAT(災害派遣医療チーム)実動訓練

 平成29年10月8日朝6時に高山市、下呂市の阿寺断層の活動によりM7.9 大規地震が発生し、下呂で震度7、郡上市でも震6弱のゆれがあり、郡上市では明宝地区の被害が甚大となった。

災害1.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 郡上市民病院は耐震構造で建物に損傷なく自家発電装置により、病院機能は維持できたが、職員も被災し、医療スタッフは不足していた。また水食料は3日分の備蓄がある。

 地震直後より傷病者が多数来院し、院内災害対策本部を立ち上げ治療を行った。

 8時半の時点で41名の傷病者を受けいれたが、更に多数の受傷、傷病者が来院してきており、EMIS(広域災害救急医療情報システム)を用いてDMATの派遣要請を行った。

 震災発生直後より、中部9県のDMATチーム88チーム(約460名)が岐阜県に出動した。中濃地区の災害拠点病院、中濃病院に到着したDMATチームの中から、郡上市民病院には、三重県・松坂市民病院/救急科科長・谷口医師がコーディネータとなり、10時32分に浜松医科大学救急DMATチーム(災害医学助教、高橋医師以下4名)が到着した。

DSCF9038.JPG

DSCF9116.JPG

 

 

 

 

 

 

DSCF9125.JPG

DSCF9131.JPG

 

 

 

 

 

 

 DMATチーム到着後、さらに36名の傷病者に対し、浜松医科大学チームと当院の災害対策委員長の丹羽副院長および災害対策委員会メンバーとともに、トリアージ訓練を行い、重症患者の転院搬送、受け入れ施設確保を、EMISデータを参考に行った。実際に即した受傷者のトリアージ搬送訓練が12時半に終了した

 この間、衛星回線を通じて傷病者の情報伝達し、多数の傷病者の受け入れに対応した。最優先治療群(赤tag)4名は当院での処置を行い、それ以後に発生した赤tag 7名はDMATチームによる搬送を決定した。待機的治療群(黄色tag)は32名に達し、すでに入院していた患者を含め当院の入院病床150名以上となるため、郡上市民病院の大会議室を黄色tag患者用に開放することを決定した。緑tag(歩行可能ですぐ処置の必要のないもの)患者は外来で待機とした。

 

 当院が被災地となった時の救援要請訓練で、実際のDMATチームが派遣されて緊張感あふれる実動訓練であった。当院では今年は9月下旬に消防署と防災訓練実施をおこなっているが、大規模災害の時は、一施設で対応できる患者には限りがあるため、多数の患者の受け入れには応援要請が必要である。今回岐阜県では初めて、DMATの実動訓練であり松坂市民病院、浜松医科大学の災害救援チームのスタッフの方々との情報交流は大変勉強になった。

DSCF9164.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大規模災害の時は、近隣病院との情報伝達が極めて重要である。問題点としては、今回はインターネット回線が使用可能な設定下であったが、携帯電話,webなどの通信手段は障害が起きることが予想され、医療、行政のネットワーク優先にするなどの方策が必要と思われた。また、医療スタッフ不足の中、搬送にかける人数には限りがあり、さらに郡上地域は近隣病院までの搬送には時間がかかるため、多くの救援チームによる現地での活動が必要と感じた。

 災害は起こっては欲しくはありませんが、起きた時に適確に対応できるように訓練し、一人でも助かる命が助かるように準備していかないといけないと感じました。

DMAT.gif

 

 

 

 

 

 

 

 

 DMATとは「災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム」と定義されており、災害派遣医療チーム Disaster Medical Assistance Team の頭文字をとって略してDMAT(ディーマット)と呼ばれています。コード・ブルーにも出てきます。

医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)で構成され、大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場に、急性期(おおむね48時間以内)に活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チームです。阪神・淡路大震災で災害医療について多くの課題が浮き彫りとなり、この教訓を生かし、各行政機関、消防、警察、自衛隊と連携しながら救助活動と並行し、医師が災害現場で医療を行う必要性が認識されるようになりました。災害派遣医療チーム、日本DMATが平成17年4月に発足しました。